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私が、自分はどんな人間になっていくのかを真剣に考えるきっかけになったのが、就職活動中のある出来事だった。
ある大きな金融機関を受験していて、エントリーシート合格、一次面接も合格した。 ところが、その会社の手違いで、二次面接が受けられなくなった。
しかも大した謝罪の言葉もなく、私はただ泣き寝入りするしかなかった。 今でこそ、そんな会社に入る羽目にならなくてよかったと思える。
だけどそのとき「モラトリアム」心理学の世界では、私たちくらいの年齢の人間が、自分というものを模索し、確立し、精神的に大人へと成長していく期間のことを言う。 いわば、子どもでもなく大人でもない、中途半端な状態だ。
私たちはいま、中途半端な人間なのだ。 私は、可能性のひとつを一方的につぶされた気分で、あまりのショックにひたすら泣き続けた。
後日、このことを友人に話したところ、考えさせられる一言が返ってきた。 「そんなものだって、世の中」確かに、世の中理不尽なことがいっぱい待ち構えていると思う。
今回の件で、自分がいかに汚れのない世界でのうのうと生きてきたかも思い知った。 しかし、「こんなもの」な現実を甘んじて受け入れていくのが、果たして良い大人なのか。

彼女は「世のなか、こんなもの」と言い続けながら生きていくのだろうか。 私は、そんな冷めた人間にはなりたくない。
間違っていることに自分を合わせるなんてことはしたくない。 「世の中、こんなもの」などと言っていても、何も良い方向に変わりはしないのだ。
私は今のこの中途半端な時期に、自分がどういう人間になっていくかを、考え抜き「とりあえず大学を卒業しておけば、つぶしがきくから安全だ」。 この言葉を当たり先に私は「就職試験があってよかった」と書いたが、社会人になるということ(別の言葉でいうと、働くということ)に対し、何かホンワカとした幻想のようなものを抱いている若者が結構多いような気がする。
学生時代という自由で、思うように膨大な時間を使える時期はもう来ないのだから、貧欲に生かしていってほしい。 大学も卒業時期も全く違う男女二人の書いたものを紹介する。
学生たちの気分や悩み、生態が浮かび上がってくると同時に、三年間という卒業時期の差やマンモス私学・女子大の違いなどを越えた、ある「共通項」に気づく。 まずはK君の文章から。
前のように信じて、一浪の末、D大学へ入学した。 大学生活は期待はずれだった。
周囲の学生は、授業もほとんど出ることなく、アルバイトや遊びに夢中だった。 母子家庭で育った私は、家庭のあり方や心の問題に関心があって、社会学部を志望していた。
しかし、D大の社会学部の試験は落ち、他大学の社会学部に合格していた。 就職も意識していたのだろう、ネームバリューがあるという理由で、D大の他学部(商学部)を選択した。

だが、やはり関心のない分野の勉強には興味が持てなかった。 そして、一年後には、私も周囲の学生と変わらず、アルバイトやバスケットボールに熱中し、授業には出席しなくなった。
そして、いつの間にか時は過ぎて、就職活動を目前に控えていた。 つぶしが利くからという理由で商学部を選択した私に、その「つぶし」を存分に生かさなければならないときが、とうとうやって来た。
そのときになって初めて、自分の人生に危機感を感じた。 「このままでは、自分の望む人生が歩めない」と。
K君は、大学を5年かけて卒業。 就活も二回して、2003年に社会へ出た。
続いて、2006年に女子大を卒業したB子さん(内定も出て、卒業まであと二カ月というこれまでに、自分の学生生活に疑問を感じていないわけではなかった。 ただ、「学生を続けるうちに、いつか自分の思う人生を歩めるようになるだろう」と、なんとなく安心していたのだ。
望む人生を歩むためには、そうなるための行動を取らなければならないことに気がついた。 私は、ある企業から頂いていた内定も辞退し、シューカツを終了した。
そして、かねてから、人生で一度は体験してみたかった体育会バスケット部に一年間留年をして挑戦する道を選んだ。 望む人生を歩むために。
先日、新聞で、学校で学ぶことの意義が見出せない中学生や高校生が増えているという記事を目にした。 私は、今の中学生や高校生は、昔の私なんかよりもずっと鋭いと思う。

すなわち彼らは、与えられた課題を素直にこなすだけでは望む人生は歩めない、と気がついているのだ。 「働きたくないよなぁ。
ずっと甘やかされて生きていきたいわ」先日、授業中に私の後ろの席でペチャクチャしゃべっている学生たちがいた。 あまりのうるささに注意をしようかと思い始めていたとき、この言葉が耳に飛び込んできた。
彼女たちは就職活動中の三年生だった。 推薦で就職先を決める国立大学の友人をうらやましがったり、就職活動の不安を口にしたりしていた。
彼女たちは「今の学生のままでいたい」という心境と「でも働かなければならない」という現実のはざまで苦しんでいるようだった。 私は、「ずっと甘やかされて生きていきたい」という考え方に少し驚きながらも、シューカツをする前の自分なら、共感したかもしれないなぁ……と、ふと思った。
就職活動についてぼんやりと考え出した頃、友人と「働くということ」について話したことがある。 私たちは「働いたら、いっぱい傷つきそうだよなぁ。
傷つきたくないなあ」と、今から考えるとくだらないことを愚痴りあっていた。 その頃の私は、社会や就職活動、自分が向かおうとしている未来が怖かった。
そして何よりも自分に自信がなかった。 自信がないからこそ、自分の二本足で立ち、わが道を進んでいくことや、それで己が傷つくことが恐ろしかった。
人生の転機を目の前にして、逃げ腰になっていた。 そんなとき、このクラスに出合った。
作文が自分の鏡となり、心の変化を直視したことで、社会に出るための自信がついた。 社会人になって、私が本当に役立つ人間になれるかどうかは分からない。
この一年半、内定が出てからも、週一回のこのクラスは休まなかった。 クラスで身につけた「自分の弱さに負けない姿勢」や、この経験から生まれた自信を常に持ち続けたい。

別の女子学生も書いていた。 「『最近の学生は与えられた課題しかしない。
どうして自分で課題を見つけられないのか』という学校の先生の嘆きをよく聞く。 確かに私も、自分から動くということはしない。
理由は、苦手だから。 でも今日、ただ苦手という言葉で逃げる自分を恥ずかしく思った」。
高校、大学と入学試験をくぐり抜けてきた反動なのか、大学の門をくぐった途端、生気を失う若者が多いように見える。 いや、遊ぶことにはエネルギー爆発だが、勉強に対しては疲れ切り、もう満腹、といった感じなのだ。
以下、U君の場合。 「挑戦して負けたら一度負けたこと。
しかし、戦わずして逃げたら、二度負けたことになる」悩むのは青春の特権とはいえ、なかなか行動を起こさない学生に業を煮やした?は、こう言って、若者の重い腰を押してきた(若い頃の自分はどうだったのかな、と自問自答高校入試の合格発表日。 校舎に張り出された紙に自分の受験番号を見つけた私は、喜びをかみしめながらこう思った。
「これで受験勉強から解放される」私にとって高校入試の目標は合格すること、ただそれだけだった。

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